鼠径部は悩みの種⁉ <大腿直筋> -② –
大注目の新元号、「令和」に決まりました。
万葉集には縁遠いので今ひとつピンときませんが、それより、4月になり飲料水や諸々値上げされる
し、10月には消費税も上がるし…その方が気になります。
さて、鼠径部の問題児 Part2 、「大腿直筋」。
『大腿四頭筋』の中の一つの筋ですが、他の筋(四頭筋)とは違う特徴があることは、前回お話し
しました。
その大きな違いは、筋肉が始まる場所です。
「大腿直筋」以外の四頭筋は、大腿骨から始まり、膝蓋腱となり脛骨とういう膝下の骨に着きます。
しかし、「大腿直筋」の始まりは、大腿骨ではなく骨盤になります。
それもまた特徴的で、2つの始まりを持っています。
1つは、骨盤の “下前腸骨棘(かぜんちょうこつきょく)” という場所から始まり、これを<直頭
(ちょくとう)>と呼びます。(赤)
そしてもう一つは、“寛骨臼の上縁(かんこつきゅうのじょうえん)” から始まり、これを<反回頭
(はんかいとう)>と呼びます。(黄)
(後方図)
ですから、筋の始まりが2つある “二頭筋(にとうきん)” で、かつ、筋が骨盤から始まり膝下に着
いているので、股関節と膝関節の2つの関節を跨ぐ、“二関節筋(にかんせつきん)” という筋の
種類になります。
よって筋の働きとして、膝関節を伸ばす(伸展)だけでなく、股関節を曲げる(屈曲)という役目
も担います。
(*こんな特徴的な筋だからこそ、『大腿直筋は本当に大腿四頭筋の一部なのかっ!!』っと叫んでしまうのです。)
ここで問題となるのは、股関節を曲げる(屈曲)働きです。
本来この働きは、以前にお話しした、『腸腰筋』がメインで行うのですが、股関節に炎症が起こる
と、この筋は大きくダメージを受けるため、どうしてもその役目を十分に出来なくなります。
そこで、股関節を曲げる(屈曲)というその役割の負担が、この「大腿直筋」にのしかかります。
しかし、この筋は元々肉離れを起こしやすいデリケート君で、かつ、<反回頭>の方は、股関節の
関節包や、靭帯等とも接触を持ち股関節の影響を受けやすいのです。
ですから、歩く時や階段を上る時などに、腿の付け根(股関節)のやや外側に、硬さを感じたり、
痛みが出現したりします。
このような時は、手の掌やボールを使って、腿の付け根やや外側を、叩いたりよくほぐして下さい。
当院に来られる方で、よくテレビで脚の老化予防に 、“スクワット” を勧めていたので自分もやった
ら股関節の痛みが強くなってしまった……という方がいらっしゃいます。
硬くなったままの「大腿直筋」に、スクワットはダメージを与えるので、筋トレ刺激を入れるのは、
お勧めできません。