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鼠径部は悩みの種!?<腸腰筋> - ② –

ついに、木枯らし1号は吹かずじまい。

暖冬といえども、先週は真夏日の声も聴かれたかと思っていたら、ようやく本来の寒さがやってきました。

この落差は、余計身体に堪えます。

夏の異常な暑さと言い、今年は気象に振り回される1年ですね。

 

さて、前回からのテーマで、鼠径部をまずは筋肉を中心に掘り下げていきたいと思います。

最初は、『腸腰筋(ちょうようきん)』です。

股関節に関係する筋肉では大事な筋肉ですので、この筋肉名はよく耳にされると思います。

正確には、「腸骨筋(ちょうこつきん)」と、「大・(小)腰筋(だい・(しょう)ようきん)」という

 2つ(3つ)の筋が合わさり、『腸腰筋』と呼ばれます。

 

        

 

「腸骨筋」は、骨盤の内側から起こり、大腿骨の小転子という場所に付着します。

(簡単に言うと、骨盤から脚の付け根に着いています。)

「大腰筋」は、第12胸椎から第5腰椎の側面、腰椎の横突起から起こり、大腿骨の小転子に付着します。

(簡単に言うと、腰から脚の付け根に着いています。)

「小腰筋」は、第12胸椎・第1腰椎の側面から起こり、腸恥隆起に付着します。

*「小腰筋」は、存在しない人もいます。

 

『腸腰筋』の主な働きは、股関節の屈曲(脚を曲げる;腿をおなかの方へ引き寄せる)です。

脚を曲げる際には、「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」や、「縫工筋(ほうこうきん)」等の筋肉

 もサポートしてくれますが、メインの働きは、この「腸腰筋」が行っています。

*仰向けに寝て、一側の股関節を曲げた時の正常な可動範囲は、125°です。

*うつ伏せに寝て、一側の股関節を上にあげた時の正常な可動範囲は、15°です。  (いずれも、他動的な関節可動域。)

た、歩行時、脚を振り出す際にも働きます。

さらに、立っている時、腰椎-骨盤-下肢(股関節)の安定と姿勢を制御する働きもあります。

 

よって、この「腸腰筋」が硬くなると、姿勢や歩行にどうしても影響が出てしまいます。

立位時においては、硬くなって柔軟性を無くした「腸腰筋」は、骨盤を前に傾ける力や、腰椎(腰)を

 前に反らせる力として働きます。(上の図)

このため、重心の位置にもズレを来し、それを補正するため腰の筋等に負担をかけます。

さらに、腰の骨自体に筋が着いているため、腰の動きは通常より制限されてしまいます。

こうしたちょっとした変化で、日常生活を営む中で疲労は蓄積され、<腰痛>が起こってきます。

股関節症では、この「腸腰筋」は、早い時期に  “硬さ”  として症状を来すため、時として<股関節の

 痛み>の前に、<腰痛>として症状が出てくることがよくあります。

(勿論、股関節症の方でなくても、「腸腰筋」が、<腰痛>の原因であることはよくあります。)

 

「最初は腰が痛くて病院にかかったんです。」「でも何でもないと言われて湿布だけで帰されました。」

とか、レントゲンを撮って、

「腰より股関節が悪いですね。」と言われて、びっくりしました。

というエピソードはよく聞かれます。いかがですか?

 

当然、この「腸腰筋」は、歩行にも影響を与えます。

次回は、「腸腰筋」と歩行の影響について触れたいと思います。