「関節包」はこんな組織です!
5月だというのに真夏日があったり、かと思えば肌寒い日もあったりと、皆さん風邪など
ひかれていませんか?
夏はまだこれからですから、食事や睡眠をしっかりとって疲れを溜めないようにしたいですね。
前回まで、「関節包の炎症」ということに触れましたが、今回は、「関節包の組織自体」
について少し触れたいと思います。
(専門的な話になりますが、お付き合いください。m(__)m)
「関節包」は、結合組織性の滑膜組織で出来ていて、外側は線維膜で、内側は滑膜から
なっています。
前回までのように、内側の滑膜は、滑液を産出して関節内を満たし、関節を支える軟骨
などの組織を養っています。
外側の線維膜は、前後の骨からなる骨膜から続き、関節を安定させ保護するために丈夫
です。(特に関節包の上方は厚くなっています。)
また、動きや痛みなど関節に起こっている情報を伝えるセンサー(神経)も豊富にあり
ます。
「関節包」は、結合組織で出来ている単なる膜でありながら、その役割はとても多岐に
渡り、かつデリケートな組織であることが分かります。
股関節の関節包における情報センサーとしての神経には、次のようなものがあります。
①主に関節包の前上方を支配する、“大腿神経”
②主に関節包の上外方を支配する、“上殿神経”
③主に関節包の内方を支配する、“閉鎖神経”
④主に関節包の後方を支配する、“坐骨神経”
*神経支配は、個人差があり大体の目安としてお考えください。
情報の1つである<痛み>も、これらの神経に伝達され、脳で認知され始めて自覚されます。
炎症は関節包内全体で起こりますが、より炎症の影響を強く受けている部位により、興奮が
伝達される神経にも興奮の程度の差は生じるものと思われます。
ここにも、『股関節痛』の症状の複雑さの要因が潜んでいるんです。
またこの神経は、当然筋肉とも強い結びつきがあります。
この関係については、またの機会に触れたいと思います。
※来月17日は、石井先生をお迎えした講演会(シンポジウム)が開催されます。
さすがに先生も「白衣」では来られないですから、ざっくばらんに有意義な時間が共有できると思います。
迷っている方がいらしたら、是非ご参加ください!